私たちにとって、熊野古道は単なるハイキングではありません。それは、千年も昔の巡礼者たちの歴史と繋がる、スピリチュアルな修行なのです。紀伊半島の深い森の中で、快適な靴、リュックサック、そして雨や虫から身を守る服装を選び、何ヶ月もかけて準備します。ルートは体力に合わせて選ばれるため、難所で過度な体力消耗に苦しむことなく、その過程を楽しむことができます。山中では意思疎通が難しく、自然と一体になってしまうこともあるため、地図とコンパスが私たちの主な道具となります。
田辺町の登山口には、伝統的な門と標識が迎えてくれ、鳥の音や風の音に満ちた、何世紀もの歴史を持つ森の奥深くへと私たちを導きます。トレッキング開始前に一礼し、神道と仏教の両方で神聖な場所とされるこの地への敬意を表します。ここの空気は澄んでいて、酸素がたっぷりと含まれているように感じます。車やバスから降りて深呼吸をすると、すぐにその感覚が伝わってきます。静寂を破るのは私たちの足音と小川のせせらぎだけ。この古道を進むにつれ、瞑想的な雰囲気が漂います。
那智大社をはじめとする道中の神社との出会いは、伽藍の隣にそびえる巨大な滝を目にした時、感動のピークを迎えます。ろうそくに火を灯し、賽銭箱に賽銭を捧げ、自分自身と大切な人の健康と幸福を祈ります。緑の木々に映える赤い鳥居は、いつまでも記憶に残る視覚的なコントラストを生み出し、この旅の象徴として私たちの記憶に刻まれます。写真撮影は、この神聖な瞬間を損なわないように、そして他の巡礼者の気持ちを尊重するために、慎重に行います。
納印帳に印を集めることは、巡礼完了の確認の儀式となり、各寺院や道中のチェックポイントで行います。インクとスタンプはそれぞれの場所に合わせて特別にデザインされ、この本は私たちの旅とその道のりの成果を綴ったアートアルバムへと変貌を遂げました。私たちはこの本を家に大切に保管し、記事を読み返し、スタンプを眺めるたびに、当時の疲労感と喜びを思い出すのです。それは私たちの労働の確かな証であり、お店やショッピングセンターで買うどんな土産物よりも大切なものです。
上り坂で心臓がドキドキし、休憩所で足が休息を求める時、肉体的な努力は人格の試練となります。清らかな湧き水の湧き出る泉で水を飲み、体を洗い、山の涼しい湿気で力が湧き上がり、木陰で休息します。夕方までに感じる疲労感は心地よいものです。コンピューターの前に座り込み、書類に詰め込まれたオフィスワークではなく、誠実な筋肉労働によって得られるものです。このような環境では、都会で私たちを悩ませる悪夢や不安から解放され、深く、回復力のある眠りに落ちます。
熊野古道巡礼:山々を巡るスピリチュアルな旅
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